現在、福島原発事故の教訓から、脱原発論議が活発に行われている中、各行政や各企業、また個人の皆様までも、人や環境に優しい「自然再生可能エネルギー」(太陽光・風・バイオ等)で発電した電力の開発に具体的に取り組んでいます。
埼玉県桶川市でも、今年7月に、工業団地の調整池を有効に活用した日本初の水上式メガソーラー発電施設「ソーラーオンザウォーター桶川」をスタートさせたことから、この15日(金)に長野市監査委員の轟光昌氏と一般社団法人長野県環境保全協会専務理事の宮島和雄氏と同所を視察に行ってきました。
桶川市のこの後谷調整池は、東部工業団地の造成に合わせ平成2年に作られたものですが、広さは約3万㎡(9千坪)あり、昨年7月の経済産業省の再生可能エネルギーによる発電の「固定価格買取制度」(1kw当42円、20年間)の決定を受けて、水上式メガソーラー発電施設の設置を決断したものです。
水上式メガソーラー発電施設全景
事業概要については、次のとおりです。
- 仕様:水上浮体装置(筏)の上に太陽光パネル4,536枚(1枚当出力260W)を設置
- 装置は風速40m、水位変動40m、流速0.5m/S,強波浪でも安定稼働
(左)使用太陽光パネル (右)水上浮体装置(筏)
- 発電容量:1,180kw(260w×4,536枚/約400世帯分に電力供給可能)
- 総投資額:318,400千円
- メンテナンス費用:年平均2,500千円
- 年間平均売電収入:47百万円(年毎に0.1%減収)
- 初期投資額回収期間:7年
桶川市では、調整池の有効活用を図り、自然再生エネルギーによる売電収入を得ることも本投資の目的の一つではありますが、最大の目的は、災害時における「非常用発電基地」の設置であり、非常時には、「本ソーラーオンザウォーター桶川」の発電装置(非常時の発電容量100kw)を自立運転システムに切り替え、照明やEV、携帯、蓄電池などを充電し、市民生活を守ることを企図した「危機管理体制強化」にあるとのことです。そのために、その発電システムをいつでも市民の皆様に知ってもらうべく、同装置わきに、「環境教室おけがわ」を作り、市民に開放し、市の職員が説明にあたっています。
環境教室おけがわ
長野市にも、多くの調整池や休耕地、そして農地があります。そのスペースを有効に活用し、行政や民間企業が自然再生エネルギーによる発電に少しでも取り組むことによって、原発事故や地球温暖化防止、更には災害時の危機管理体制の強化に資することができるのではないかと感じています。
(左)轟 長野市監査委員 (右)宮島長野県環境保全協会専務理事
<本件照会先>
NPO法人 長野都市経営研究所 事務局・専務理事 河口 明弘
380-0834 長野市大字鶴賀問御所町1289-1
電話:026-235-7911 FAX:026-235-6166 E-mail:nupri@nupri.or.jp